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2008/02/02

イエス・ミュージックの夜2  トニー・ケイとサードアルバム

初期のYesの音に厚みを与えてくれたオルガンプレイヤーのTony Kaye。ソロよりもパワフルな演奏を支える方が合っていました。だから、サードアルバムはYesにとって、もっともロックらしいロックのアルバムなのかもしれません。

Yesの初代キーボードプレイヤーだったTony Kayeは1945年生まれ。サードアルバムである『The Yes Album』までキーボードを担当していた、Yesのオリジナルメンバーの一人です。後にメンバーに復帰することにもなるのですが、その話は後程。

Tonyは元々オルガン奏者でした。その演奏を堪能するのなら、ファーストアルバムやセカンドアルバムの方がいい、とは思うのです。というのも、Yesはもともと、サイケデリックな音を目指していたバンドでしたし、その感触やコーラスワークには、和音をしっかりと奏でてくれるオルガンという楽器がすごくマッチしていました。



でも、今回取り上げるのは、サードアルバムです。このアルバムでは、Tonyはほんとうにがんばったって思うんです。でも、そこがYesのメンバーとしての限界でもあった。結果として、シンプルなロックと複雑な組曲が出会う、YesらしいYesの始まりというアルバムに結実するわけです。

『The Yes Album』では、ギタリストとしてPeter Banksに代わって、Steve Howeが新たに参加しました。Steve自身もまた、Yes加入前は、Tomorrowというサイケデリックな音作りをしているバンドにいたのですが、Yesに加入したとたん、もっとクリアで表情豊かなプレイをするようになるというのは、よく考えると不思議なことかもしれません。何より、新メンバーなのに、自分のアコースティックギターによるソロ「The Clap」をアルバムに入れてしまうあたり、なかなかずうずうしいという気がします。いいんですけど。

このアルバムには、もう1つ重要な要素がありました。セカンドアルバムではエンジニアだったEddie Offordがこのアルバムからプロデュースするようになります。メリハリの利いた、それでいて質量感のある音になっているのは、Eddieの力によるところだと思います。

Yesのファンだったら、1曲目の「Yours Is No Disgrace」のギターのカッティングから気持ちが盛り上がってしまうでしょう。そして、ぼくがこのアルバムでもっとも好きな最後の曲「Perpetual Change」まで、ギターは時に激しく、時にメロウに、いろいろな音を聞かせてくれます。Chris Squireのベースは元々自己主張が強かったのでいいのですが、そうなると次はTonyのオルガンということになります。それは、バンドの音に厚みを与えながらも、あまり前に出ることはありません。Tonyはがんばって、オルガンだけではなく、シンセサイザーだって演奏しているんです。「Your Move」では印象的な演奏をさりげなく行なっているんです。でも、そこまでなんです。そこまでがんばったTonyの、アルバムジャケットに写った姿は、交通事故で足を骨折し、ギプスをはめたものになっています。

むしろ、『The Yes Album』では、Tonyのそこまでのプレイということが重要だったのかもしれない、とも思います。音に厚みを与えるからこそ、Steveのギターのカッティングが生きてくるし、結果として何よりシンプルなロックのテイストをそこに与えてくれる。それはたった1枚だけの奇跡かもしれません。バンドはより奥深い精緻な世界を目指し、Tonyはより厚みのあるシンプルなロックを目指す。当時の写真の印象にあるような、やたらとたくましくてむさくるしい姿のプレーヤーであるTonyはサードアルバムを最後に、バンドを脱退します。







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